メサイアコンプレックスとは?
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まずメサイアコンプレックスとはどういった心理状態なのでしょうか。メサイアとはメシアのことで救世主を意味する言葉です。このことから「救世主症候群」「救世主妄想」「キリストコンプレックス」と呼ばれることもあります。「自分は人を助けるために生まれてきた」「人を救済することが自分の使命だ」と思い込んでいるのです。
しかしその背景には他者を助けることで自分は価値ある人間だと思いたいという心理が隠れています。つまり他者を救うことで自分が救われたいという心理状態にあるのです。なぜこうした心理状態に陥ってしまうのでしょうか。次の項目から詳しく紐解いていきたいと思います。
メサイアコンプレックスの特徴4つ
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メサイアコンプレックスは一見するとよい行いをしているように感じるため、周囲からは問題を抱えているように見えないこともあります。しかし実際には自分のために人助けをするという歪んだ心理からの行動であるため、押しつけがましい行為になってしまうことも多いのです。自分や身近な人がメサイアコンプレックスの特徴に当てはまっていないかどうか確認してみましょう。
特徴1.他者の問題に介入しようとする
メサイアコンプレックスの人は他者を救うことが自分の生きがいになっているため、常に誰かの問題に介入して助けようとします。相手が助けを必要としているかどうかは関係なく、自分のために人助けをおこなうため自己満足的な行為となるのです。相手からすると偽善者のように見えたり、恩着せがましく感じたりするでしょう。
もし助けようとした相手が自分ではなく他の人物を頼りにしていると、その人物をねたんだり助けようとしていた相手を恨んだりすることもあります。自分の好意を受けとってもらえなかったことで、自分自身を否定されたような気持ちになるのです。
特徴2.感謝されないと不機嫌になる
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メサイアコンプレックスの人は前述のとおり他者の問題に介入しようとしますが、相手から感謝されないと途端に不機嫌になります。これはメサイアコンプレックスの人が「自分は価値のある人間だ」という感覚を得るために人助けをしているからです。
感謝の言葉がもらえないと困っている人を助けても幸福感が得られず、「この人に費やした時間は無駄だった」と感じてしまいます。相手からはありがた迷惑と思われている場合も多いでしょう。
特徴3.自己犠牲的
メサイアコンプレックスの人は自分を犠牲にしてでも困っている人を助けようとすることがあります。「相手から必要とされている」という幸福感から相手に尽くしすぎてしまうのです。もし相手が助けを必要としていたとしても背景にある心理が歪なものであるため、お互いにとってよい結果にならないことが多いでしょう。依存関係に陥る危険性もあります。
特徴4.ボランティア活動を好む
ボランティアなどの慈善活動に興味を抱いていることも特徴のひとつです。他者を助け人に感謝される機会に恵まれるため、実際にボランティア活動に参加している人も多いでしょう。またメサイアコンプレックスの人は医師や介護職・心理カウンセラーなど、人を助けたり援助したりする仕事を志す傾向があります。
メサイアコンプレックスの原因2つ
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メサイアコンプレックスは相反する2つの気持ちが入り混じっています。「誰かを助けなければ自分に価値はない」と自分自身を過小評価しているにも関わらず、一方で「自分は人を救うことができる」という全能感のような感覚も抱いているのです。こうした心理に陥ってしまうのはどういったことが原因なのでしょうか?その根本的な原因について紐解いていきたいと思います。