女性であっても男性であっても、セクハラ被害は傷つくものですし、対処しなければいけません。認識されにくい逆セクハラの事例と対処法を、転職を繰り返し10社以上を渡り歩いた筆者が解説します。
職場でよくある逆セクハラ事例
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逆セクハラは、女性の多い職場などで、若い男性が被害者になりやすいです。女性の上司から部下の男性へ行われることもあり、その場合はパワハラの要素も含みます。セクハラは被害者が不快に感じた時点で成り立つものです。関係性によって受け取り方が変わるので、判定は難しい部分もあります。ここではよくある事例をご紹介しますので、確認しておいてください。もし自分の受けた行為であてはまるものがあれば、まずは「逆セクハラ」だと認識することが大切です。
その1. 露出の多い服装
胸の大きく開いたシャツ、短すぎるスカート、ちょっとの動きで肌が露出する服。女性の服装で、目のやり場に困ったことはありませんか。女性である筆者から見ても、思わず目をそらしてしまう服装の女性はいます。
職場の服装で、男性はスーツ着用など規定を決めやすいですが、女性の服装は幅広いので規定がないことがほとんどでしょう。筆者が以前いた職場でも、女性の服装については『常識的なもの』という曖昧な決まりでした。網タイツをはいてきた人に苦言を呈したら「セクハラだ」と言われたこともあります。
職場はあくまで仕事をする場所、もちろん服装は個人の自由です。しかし男性からすれば見る気もないのに見せられたという感覚になり、業務に支障が出ることもあります。女性の服装は「逆セクハラ」になり得るということを、今一度考えるべきでしょう。
その2. プライベートな質問をする
「恋人はいるの?」「休みの日は何してるの?」「もうプロボーズした?」など、業務とは関係のない質問は不快に感じることがあります。男性から女性にこのような質問をすればすぐセクハラだと認識できるのに、女性から男性への場合、なぜかスルーされることが多いようです。
親しい間柄ならいざしらず、職場へはあくまで仕事をしにきています。若い世代は特に、職場の人とプライベートな付き合いをしたくないと思っている傾向がありますよね。個人の恋愛事情は仕事に関係ありません。言いたくないことをしつこく聞かれることは、逆セクハラにあたります。
その3. 過度なボディタッチ
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たまたま触れてしまったのではなく、意図的に、意味なく身体に触れられることは不快に感じます。例えば「ちょっと太ったんじゃない?」と言ってお腹を触ったり、「筋肉すごいね」と言って腕や胸筋に触ったりといったボディタッチは逆セクハラです。
飲み会などで隣に座りしなだれかかったり、腕を組んで胸を押し付けたりということも立派な逆セクハラにあたります。
立場を変えてみれば、とんでもないセクハラであることが理解できるでしょう。しかしなぜか逆になると、何も感じない人が多いのです。
その4. つきあっているかのようなふるまい
職務上のつきあいであるはずなのに、個人的に交際しているかのように甘えてくるなどの行為は非常に迷惑な逆セクハラです。業務連絡のための連絡先交換も、業務外の内容をしつこく送ってきたり、休日に連絡してきたりといったことは公私混同。女性が上司であれば無視することもできず、仕方なく相手をすれば調子に乗って、下手をすれば周囲にも交際していると思われてしまいます。
こういうときの女性は妄想の世界にいるため、厳しく突っぱねてもストーカー化してしまうこともあるようです。気がつけば取り込まれていることもあるため、「私的な連絡はやめましょう」と、早い段階で決めておくのが良いでしょう。
その5. ジェンダーバイアスのかかった言動
「男なんだから重いもの持ってよ」「男のくせに少食だね」という発言はジェンダーバイアスによるものです。男性らしく、女性らしくといった概念は長年社会に染み付いたものであり、簡単に払拭することは難しい面もあります。しかし、これは非常に差別的で、言われた方は傷つくものです。
男性自身が自らそうなりたいと思っているものならいいですが、他者から求められるものではありません。例えば妻の出産に合わせて育休を取得しようとしたときでも、「男がいたって役に立たないでしょ」といった決めつけや、「男なのに育児参加なんて偉いね」といった発言も、言われたくない逆セクハラでしょう。
逆セクハラは認識されにくい
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紹介した逆セクハラの事例を見ても、もし男女が逆であれば、セクハラと認識されやすいものが多いです。女性から男性への逆セクハラは、なぜ認識されにくいのでしょうか。ボディタッチや恋人のようなふるまいを「不快だ」と訴えたとしても、「ホントは嬉しいくせに」だの、「それくらい我慢しなよ」だのと一笑に付されてしまう可能性があります。
それは男性は本能的に女性に好かれれば嬉しいものだ、という偏見があるからです。男性は強いものだという決めつけ、嫌なら本人に言えばいい、しようと思えば拒否できるはず、といった正にジェンダーバイアスによって、相手にされない。これは男性にとって非常につらく、厳しいことです。