問題点2.共依存に陥る危険性がある
共依存(共嗜癖)とは特定の誰かと自分自身がその関係性に依存してしまっている状態のことで、アダルトチルドレンと同じくもともとはアルコール依存症の人とその家族の関係性を指していました。依存症など問題を抱えている側は家族に迷惑をかけながらもその支援や存在に依存しており、家族は迷惑や苦痛を被りながらも相手を支えることで自分に価値を感じている状態になります。
イネイブラーとその相手もこうした関係に陥る危険性があるのです。相手の回復のためには自己犠牲的な支援や手助けではなく、現在の関係性に疑問を抱くことや適切な距離感をとることが重要となります。
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イネイブラーをやめるための対処法3つ
もし「自分はイネイブラーになっているかもしれない、イネイブラーをやめたい」と思っている場合は、その思いこそが大きな前進と言えます。その意思を持ち続けることが改善への近道となるはずです。ここからはイネイブラーをやめるための対処法について解説していきます。
対処法1.適切な支援をする
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依存症は自分の欲求がコントロール不能になってしまい「やめたくてもやめられない」といった状態に陥る病気です。そのため身近な人がアルコール依存やギャンブル依存などなんらかの依存症を抱えているのであれば、医療機関でしっかりと治療を受ける必要があります。
子どもがひきこもりの傾向にある場合はカウンセリングを受けるなど、心理的な治療が必要となるでしょう。問題を引きのばすような支援ではなく、こうした治療を受けるための手助けや自宅でのケアなど「問題解決のための支援」をしていくことが重要です。
対処法2.境界線をはっきりさせる
問題を抱える相手とそれを支えるイネイブラーという関係性は過度に相手の問題に干渉してしまうため、前述のとおり相手と自分の境界線が曖昧になっています。そのため「相手の責任は相手に背負わせる」と意識することが大切です。
自分で自分がしでかしたことの後始末をすることで相手にも「大変なことをしてしまった」という自覚が生まれます。後悔の念や罪悪感を抱くことが根本的な問題を改善していくための意欲となるでしょう。特に依存症の場合は長期的にその症状と向き合っていかなければならないため、本人の意欲はとても大切です。
はじめは突き放すようでつらく感じることもあるかもしれませんが、必ずしも「手助け=相手のためになること」ではないと自覚することがイネイブラーをやめるための第一歩となるでしょう。
対処法3.自助グループを活用する
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自助グループとは同じ障害や問題を抱える人同士の集まりのことで、自分自身の経験を仲間と共有したり分かち合ったりしながら問題を克服していく場です。
依存症や問題を抱える当事者しか参加できないものもありますが、家族などが参加できるものもあります。医師と患者といった関係性だけではなくこうした対等に接することのできる仲間を得ることで、問題を抱えている本人もイネイブラーとなっていた人も前向きに問題解決に取り組んでいけるでしょう。
悩んでいるのは自分たちだけではないと知ることで心理的な負担も軽くなるはず。自分たちだけで抱え込まず、気持ちを伝える場や相談の場を得ることが大切です。
根気強く向き合っていくことが大切
今回の記事ではイネイブラーの特徴や問題点・対処法についてお伝えいたしました。家族や身近な人が苦しんでいたら「助けてあげたい、なにかしてあげたい」と思うのはごく一般的な感覚と言えます。
そのため誰でも気付かないうちにイネイブラーとなってしまう可能性があるのです。もし周囲の人で今回紹介した特徴に当てはまる人がいる場合は、その人がイネイブラーだと断定はせず「こんな状況に陥る人もいるみたいだよ」と教えるだけでも気付きにつながる可能性があります。
関係性を変えていくことは一朝一夕にできるものではありません。そのため根気強く向き合っていくことが大切です。あなたとあなたの身近な人がともに自立して人生を歩んでいけますよう応援しています。