実は誰でもイネイブラーとなってしまう可能性があるのです。今回はイネイブラーの特徴や問題点・対処法などについて、メンタルヘルスの本をいくつも読んできた筆者が解説いたします。
どんな人をさす言葉?イネイブラーの意味とは
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もしかすると「イネイブラーという言葉自体耳慣れない」という人も多いかもしれません。イネイブラーとは「イネイブリング」をおこなう人のことで、イネーブラーと表記されたり「支え手」と訳されたりします。
「イネイブリング」は依存症やひきこもり・うつ病などなんらかの問題を抱えている相手に対して手助けや支援をおこない、結果として相手の問題行動や症状を長引かせたり悪化させたりしてしまうことです。単に「依存症などの問題行動を可能にする行為」と表現されることもあります。この手助けや支援をおこなう人のことを「イネイブラー」と呼ぶのです。
イネイブラーの特徴3つ
イネイブラーは相手のためを思っているつもりでも、実際は相手の問題を助長させてしまいます。しかし自覚していない場合も多いため、まずは「もしかしてイネイブラーになっているのでは…」と気付くことが重要です。自身にイネイブラーの傾向がないかどうかチェックもかねて特徴を見ていきましょう。
特徴1.家族に問題行動を起こす人がいる
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これは大前提の部分でもありますが、家族などの親しい人や身近な人に「支えてあげなければならないほどの問題行動」を起こす人がいる場合はイネイブラーになってしまう危険性があります。
アルコール依存症やギャンブル依存症、ひきこもりの子どもなどが家族にいる場合は注意が必要です。金銭的な支援や過度な甘やかしは本人のためにはならず、むしろ依存症が進行してしまったりひきこもりの期間を長引かせてしまったりする可能性があります。
特徴2.過保護になる
イネイブラーは相手の問題行動が早くおさまってほしい・治ってほしいと思いながらも、自身の問題で苦しんでいる相手を見ると手助けせずにはいられません。
アルコール依存症の相手に「これで最後にしてね」と代わりにお酒を買ってきてしまったり、お金を必要としている場合には「一万円だけだよ」などと金銭を工面してあげたりします。こうした行動は相手への愛情や優しさなどからくる場合もあれば、「暴れ出されたら困る」などといった一時的な対処のためという場合もあるようです。
もし「やっぱり私がいてあげなきゃだめなんだ」といった気持ちを抱いている場合は共依存に陥っているかもしれません。
特徴3.自分と相手との境界線が曖昧
イネイブラーの人は自分と相手との境界線が曖昧になっているため、相手の苦しみや落ち込みに引きずられてしまったり相手の問題を自分のことのように感じてしまったりします。そのため相手の借金を代わりに返してあげたり、相手が壊した食器や家具を代わりに片づけたりといった行動をとるのです。
イネイブラーが責任を背負ってくれるため、相手は後悔や罪悪感の気持ちが薄れ問題行動をくり返すといった悪循環に陥ります。
イネイブラーの問題点2つ
自分がイネイブラーになっていると自覚できないままその関係性が続いた場合、どのような問題が発生するのでしょうか。実は本人たちだけではなくその家族にも影響を与える可能性があるのです。ここからはその問題点について解説いたします。
問題点1.子どもがアダルトチルドレンになる可能性がある
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アダルトチルドレンとはもともとアルコール依存症の親に育てられながら成人になった人を指す言葉でした。最近ではアルコール依存だけではなく、虐待やDV・親の離婚など「機能不全家族」のもとで育ち成人となった人も含まれます。
こうした環境で育った子どもは家庭でのトラウマによって精神面にさまざまな問題を抱えており、大人になっても生きづらさを感じるようになるのです。「依存症の夫とイネイブラーの妻」という状態になっている場合は、子どもにも悪影響を及ぼしかねません。
お子さんの幸せな将来のためにも、大人の問題は大人同士でしっかり改善していく必要があります。
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