・大切な人と離れ離れになってしまった。
・仕事で大きな失敗をしてしまった。
・どうしようもないほどお金がない。
など、絶望と一口に言っても様々な形があるかと思います。
この記事では年間100人以上の鬱や統合失調症、精神障害、虐待…など様々な悩みを抱える人達の相談を受けてきた筆者が、ある1冊の本から絶望への対処法と希望の持ち方を解説させていただきます。
具体的な流れとしましては
・本の紹介
・絶望の受け止め方
・希望の持ち方
の順番にご紹介していきます。
「夜と霧」から学ぶ絶望からの立ち上がり方とは?
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現在、絶望の淵にいる人もしくは大切な人が絶望の真っ只中にいる人に勧めたい一冊があります。それは「夜と霧」という本です。ここでは簡単に本の内容を紹介いたします。
第二次世界大戦中のドイツでは国内の数カ所に強制収容所、というものがありました。この中でもアウシュビッツ強制収容所というところは皆さんも聞き覚えがあるのではないでしょうか?そこでは多くのユダヤ人が収監、強制的に労働をさせられ劣悪な環境や理不尽な暴力によって多くの人々がここで命を落としました。
著者のフランクルはこの強制収容所から無事に生還することができ、その時の凄惨な体験と人々の心模様をこの本に記したのです。この最悪とも言える絶望から彼はどうやって脱することができたのでしょうか?その方法を探っていきましょう!
絶望に身を委ねるとどうなる?メカニズムと本当の恐ろしさとは?
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さて、皆さんも多かれ少なかれ絶望というものを感じたことがあるのではないでしょうか?絶望とはどういうことなのかここで説明していきます。
絶望のメカニズム:希望と現在の私との距離
人が絶望を感じる原因とは、現在の自分と目標との距離が途方も無いと感じることにあります。
例えば、ある人は事業が成功し多くの財産を築き上げました。しかし、とある時に友人に騙され全ての財産を失うことになりました。ある人は、家を出る前に恋人とケンカをして、恋人の「いってらっしゃい」という言葉にも返すことなく仕事へ向かいました。その数時間後、その人に恋人が交通事故で亡くなったと連絡がありました。
このように、あるべきだった財産や日常というゴールが突然に二度と手に入らないということで大きな絶望が生まれます。
悪夢に苦しんでいる哀れな仲間を起こそうとした。その瞬間、自分がしようとしたことに愕然として、揺り起こそうと差し伸べた手を即座に引っこめた。そのとき思い知ったのだ、どんな夢も、最悪の夢でさえ、すんでのところで仲間の目を覚まして引きもどそうとした、収容所で私達を取り巻いているこの現実に比べたらましだ、と…
(出典:夜と霧 V・E・フランクル)
収容所の生活はそれまで過ごしてきた生活からはかけ離れたあまりにも過酷な生活でした。そこではどんな悪夢でさえ現実よりましだと思わせてしまうほどのものと著者は伝えています。
それまであった生活とあまりにも苦しい現実のギャップ、あるべきはずの目的と今の姿という距離が果てしないと感じたときに人は絶望を感じるのです。
絶望の恐ろしさ:未来への諦めと希望の拒否
自分が思い描いた目的やゴールと現実との距離があまりにも遠いと感じたときに絶望を感じることは説明いたしました。ここではある絶望の恐ろしさをお伝えします。それは未来を諦めること、そして新たな希望のチャンスを拒否してしまうことです。
人は自分が安心して過ごせる場所に頻繁に通うようになったり、慣れた行動を繰り返したりすることがあります。これは心理学の用語で安全基地といって、人は心の中の安心な場所を頼りに新しい挑戦の世界へと挑戦していけるのです。
しかし、この安全が奪われたとき人は新たな挑戦も希望の機会も望まなくなってしまいます。なぜなら、今目の前の安全を確保することに必死になってその先のことは考えられなくなってしまうからです。