6.死:毒を持つもの
蛇が家の中に入るところを目撃したらその家に死者が出るという迷信を信じる国・地域があるように、蛇は地上と地下をつなぐあの世からの使者であるとも考えられています。脱皮の意味する新生・再生・成長の真逆の意味において、毒で他者の命を奪う可能性から蛇を破壊者の象徴として見ることもできるのです。
7.生命力・ヒーリングパワー:甦りを可能にするもの
ギリシャ神話に登場する太陽神アポロンの息子、医療を司る神アスクレピオスの杖には一匹の蛇が絡みついていますが、こちらは世界保健機関のロゴマークに採用されている為、目にしたこともあるのではないでしょうか。スピリチュアルな言い伝えでは、ある時瀕死の状態だった蛇に仲間の蛇が薬草を運んでやり、無事甦った場面を目撃したアスクレピオスが、後に蛇と薬草を医療のシンボルにしたという逸話が残されています。
他文化に見られる蛇の象徴するもの7選
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文化的な背景で蛇を探していくととてもご紹介しきれない程膨大な数に上ります。誰もが知っている有名な伝説からちょっとした迷信まで、蛇のスピリチュアルな側面をよく表した逸話を世界の文化から見ていきましょう。
1.アイルランド:実在しない蛇に憧れて
スムーズな動き、優雅な身のこなし、天と地をつなぐスピリチュアルな存在として扱われてきた蛇を、アイルランド人はケルト文化が華やかな頃から特別な生き物として見てきました。アイルランドに蛇は生息していないにもかかわらず、蛇やウミヘビ、竜にまつわる伝承物語は多数語り継がれてきているのが不思議ですよね。ケルトのアートを代表する組ひも模様も蛇を象徴しており、眺めていると心が落ち着くヒーリングパワーを感じられます。
2.インド:蛇を信仰する社会
インダス文明の初期の頃から蛇を信仰する習慣がありました。今でもインドを中心にした国々では歌や物語に魂や生命の本質を象徴するスピリチュアルな存在として蛇が登場。インドでは聖なる月シュラバンの期間中には蛇崇拝の習慣があります。普通の蛇もコブラも期間中は牛乳を与えられ、殺すことは禁止されているほど厳格な決まりがあるのです。また、地下世界に住むといわれるコブラの神様ナーガの存在はヒンズー教の教えに由来します。
蛇は爬虫類の中でも毒を持つものがいることからそうとうに恐れられる存在になり得るわけです。同時に他の動物と違う点が神聖視される理由にもなります。ヒンズー教のシヴァ神は首飾りのひとつとして黒いコブラを巻いているのが印象的です。蛇は宝物の象徴とされ、もしも森の中でキングコブラに出会ったらまとまった金額が手に入る予兆ともいわれています。
3.タイ:ポジティブにとらえたい蛇の迷信
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黒い蛇が家の中に入ってくると家族に予期しない死が訪れると語り伝えられているのがタイ。それでも実際に悲しいことが起きるというより、古いものに別れを告げて気持ちも新しく何かが始まる予感ととらえ、多分にスピリチュアルな意味合いで暗示される蛇についての言い伝えです。