八大地獄とは?
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地獄って本当に存在しているのでしょうか?誰しも一度は聞いたことのある恐ろし気な未知の場所、地獄。もともと古代インドの考え方で説かれる、生きている間に悪いことをした人間が堕ちるとされている場なのですが、日本には中国を経由して仏教と共に伝えられたのが六世紀の中頃。人々がまだシンプルででおおらかな暮らしをしていた頃に考えられた、罪と罰の構図です。今回の記事は刑務所に行くほど悪いことをしていないから大丈夫♪と思い込んでいるあなたにぜひ知っていて欲しい内容になっています。
八大地獄の種類
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仏教でいう八大地獄、お釈迦様の教えにある地獄には八種類の段階があり、下に行くほど苦しみの度合いが大きくなっていくとされています。地下深くに向かって堕ちていくイメージを浮かべてみるとわかりやすいですね。下へ向かうにつれて前段階の罪と責め苦がプラスされていく方式が八大地獄の存在を更に恐ろしいものにしています。覚えておいてほしいのは、どのような責め苦にあっても肉体が必ず元通りになり、また最初から延々繰り返される拷問が続くこと。
それぞれの階層にはどのような責めと苦しみが待ち受けているのか、またそこへ堕ちることになった人は生きている間にいったい何をしてしまったのか、一つずつ説明していきましょう。
第一階層:等活地獄で骨を砕かれる
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八大地獄最初の階層は等活(とうかつ)地獄といい、生きている間に殺生の罪を犯した人が行くことになっています。獄卒と呼ばれる地獄の鬼たちに鉄の杖で小突かれ、殴られ、骨を砕かれ、刀で滅多切りにされて殺されてしまうのですが、さっと風が吹いてくると元の身体によみがえり、同じ苦しみが永遠に繰り返されるという地獄。殺人さえ犯さなければ大丈夫と思ったあなたには残念なことに、ここでいう殺生とは殺人だけでなく、この世に生きるものすべての命を奪う行為を指します。
第二階層:黒縄地獄では焼けた鉄縄でぐるぐる巻きに!
八大地獄の第二段目は黒縄(こくじょう)地獄と呼ばれ、第一階層の等活地獄に落ちる条件の殺生に加え、盗みをした人が行く階層です。ここでは熱した縄状の黒い鉄を身体に巻かれて焼かれる苦しみと、刃物で切り刻まれる責め苦が待っています。いつ終わるともなく拷問が繰り返されることも八大地獄の共通条件!想像を絶する高温の鉄にがんじがらめにされて肉体を焼かれるぐらいなら、盗みなどしなければよかったと思っても後の祭りという階層です。
第三階層:衆合地獄は針山地獄
八大地獄第三のエリアは衆合(しゅごう)地獄、絵画や書籍などでよく目にする針の山でおなじみの地獄。ここでは一般的な鬼ではなく、牛頭・馬頭(ごず・めず)と呼ばれる動物の頭を持つ獄卒によって鉄でできた山の谷間に追い込まれ、両側から迫る山に挟まれながら圧死させられることになっています。また牛頭と馬頭は巨大な臼の中に人を入れ、餅のように突き殺す場合もあり、殺生、盗みに加えて浮気や不倫など邪淫の罪を犯した末路がこちら。
第四階層:叫喚地獄で焼けた鉄板レース
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八大地獄の第四階層は叫喚(きょうかん)地獄という一般的にも馴染みのある名前が付けられています。叫喚とは泣きわめくこと、つまり苦しくて泣きさけばずにはいられない地獄ということですね。これまでの殺生、盗み、邪淫の罪に加えて飲酒をした人が落ちる場所ですが想像するだけでも恐ろしい責め苦が待っています。真っ赤に焼けた鉄の地面を走らされ、溶かした銅を喉に注ぎ込まれれば喚きたくても無理ではないでしょうか。
更に煮えたぎる大釜風呂や炎に包まれた鉄室に入れられるなど地獄ならではの特別仕様が待っています。
第五階層:大叫喚地獄でアツアツの銅を飲む
八大地獄の五番目は大叫喚(大叫喚)地獄、つまり一つ軽い第四階層の叫喚地獄と責め苦のメニューは変わらないものの、その苦しみは十倍増しなので「大」の文字が付きました。堕とされた人も当然更なる大声で泣き叫ぶことになります。殺生、盗み、邪淫、飲酒の他に嘘をつくと行きつく先は大叫喚地獄。幼い頃「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ます」と約束を交わしていましたよね。「嘘つきは泥棒の始まり」ともいわれ、死んでから地獄に堕とされないように教えが広まっていた証拠です。