智天使(ケルビム):エデンの番人
天使の階級の2番目に属する「智天使(ケルビム)」は、アダムとイヴが追放された後のエデンの園を守る天使として知られています。高位で力を持っている天使で、知識を司る優れた知性を持っているそうです。名前は「偉大な者」を表すヘブライ語が由来だと考えられています。
また智天使は、右側に獅子、左側に牛、後ろに鷲の顔が付いた人間の顔を持つユニークな姿も特徴的。4枚の翼で高速飛行することが可能で、神様を乗せる使いとしても活躍すると言われています。
座天使(スローンズ):神様の戦車を運ぶ者
「座天使(スローンズ)」は第三位の上級天使で、神様の戦車や玉座を運ぶ者として神様の側に使えています。旧約聖書によれば車輪がいくえにも重なったような姿をしており、その車輪には多くの目が付いているそうです。少々奇怪で、一般的な天使像からはかなりかけ離れた姿と言えるでしょう。
熾天使と同じく炎に包まれており、移動の際には稲妻の光と轟音が出現すると言われています。神様の力の栄光と荘厳さを表す不思議で強力な天使なのです。その光には悪を見抜く力と、人間を癒す力があるとされています。
中位三隊:主天使・力天使・能天使
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推して天使には、上級天使に続いて中級天使が存在しています。ここには主天使・力天使・能天使が属しおり、中でも「主天使(ドミニオン)」は神の意志を人間に伝える存在です。下位天使の監視もしており、神様の手となり目となり働きます。ヨハネ黙示録によると、最後の審判で裁かれた人類を滅亡させる天使でもあるそうです
主天使の次に位置している天使は、奇跡を起こす力を持つ「力天使(ヴァーチュース)」。自然の法則をも操り、人間に過不足のない奇跡をもたらします。キリストが昇天する際に付き添ったり、アダムとイヴの息子・カインの誕生の見守り役を務めたりしたことでも有名な天使です。
そして中位三隊最後の天使は、悪魔と戦って天界を守っている「能天使(エクスシア)」。神様に作られた最初の天使で、天地創造に関わったとも言われています。悪魔と関わることが多いため、堕天使が多く出る階級でもあるそうです。熾天使のルシファーが悪魔に転身した際も、多くの能天使が堕天したと伝えられています。
下位三隊:権天使・大天使・天使
そして天使の下位に属する下位三隊という階級の天使が存在しています。その中で最も位が高いのは、人間界を治めている「権天使(アルケー)」です。権天使は人間界を訪問して人間たちを悪魔の導きから救うとされています。神様の意向によっては、国同士の争いや侵攻に力を貸すこともあるそうです。
次に力を持っているのは、人間の身近な存在である「大天使(アークエンジェル)」。神様の意向をお告げとして人間に伝えます。天使の中で最も神様の意向を体現することができる天使として各宗教でも有名です。メッセンジャーである一方、必要があれば能天使とともに悪魔と戦うこともあります。
そして天使の階級の中で最も下位で人間の側にいるのは「一介天使(エンジェル)」です。神々と人間の間に存在する霊的な存在で、厄災を司ったり、悪魔と戦ったりすることもあります。神様のような全知な存在ではないと言われていますが、ただの伝令役には留まらない高次の力を操るようです。
天使の9階級のまとめ
1:熾天使(セラフィム)
2:智天使(ケルビム)
3:座天使(スローンズ)
4:主天使(ドミニオン)
5:力天使(ヴァーチュース)
6:能天使(エクスシア)
7:権天使(アルケー)
8:大天使(アークエンジェル)
9:一介天使(エンジェル)
上に行くほど神様に近く、位も高くなります。上位の方が力も強大です。
知っておくべき七大天使たち
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「七大天使」とは、キリスト教やユダヤ教で定められた有力な7人の天使のことを指します。約40億体も存在しているとされる天使を束ねる偉大な天使で、叡智と力を持った特別な存在です。
メンバーは、ミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエル、カマエル、ヨフィエル、ザドキエルの7人。階級としてはミカエル、ガブリエル、ラファエルが天使の最高位である熾天使であるとされています。
特に有名なのは、聖母マリアに受胎告知を行った天使・ガブリエルでしょう。両性具有の天使で、女性の姿で描かれることも多い珍しい天使です。キリスト教においては、最後の審判でラッパを鳴らし、死者を甦らせる天使とされています。