イギリス:ラッキーキャット
イギリスでは黒猫は強い生命力を持ち、幸運をもたらしてくれる存在と考えられています。特に結婚式の日に黒猫が目の前を横切ると幸せになると信じられており、一部の地域では黒猫のことを「ラッキーキャット」と呼んでいるそうです。さらに黒猫は幸運を引き寄せることから、人生に苦労している時や人生の落ち目に入った時に飼うと良いとも言われています。一方でイギリスの一部では黒猫を風雲の象徴と考えており、黒猫が目の前を通り過ぎることを、不運が通りすぎて幸運が訪れる前兆と解釈することもあるそうです。
ドイツ:不幸の象徴
ドイツでは黒猫に良い印象がなく、特に黒猫が自分の前を左から右へ横切るのは縁起が悪いと信じられています。ちなみに、右から左へと黒猫が横切った場合は吉兆を表すそうです。さらにクリスマスの夜に黒猫の夢を見ると、翌年重い病にかかるという迷信もあり、クリスマスツリーに黒猫と対極の存在である白猫モチーフの装飾を飾る家も多くありました。しかし、現代のドイツのではそんなジンクスも衰退しつつあります。
ベルギー:魔女の使い
ベルギーのイーペルという町では、猫が流行病をもたらす原因だと考えたり、魔女の使いだと考えたりする中世時代の影響から、19世紀初頭まで時計台から黒猫を投げて殺す「猫の水曜日」という行事が行われていました。しかし動物愛護団体がその行事を撤廃。現在では時計台から黒猫の人形を投げ落としてキャッチした人は幸せになる「猫祭り」という行事に変更され、黒猫は町の人に愛される存在になったそうです。
ニュージーランド:妖精の化身
ニュージーランドでは、黒猫は幸運をもたらす妖精の化身であると考えられています。結婚式の日に夫婦の目の前を黒猫が横切ると、その夫婦は末長くは幸せになれるとも言い伝えられているそうです。
黒猫が実は縁起が良いとされる3つの理由
ここからは、黒猫が実は縁起が良いとされる理由を解説していきます。日本に古来より伝わる幸福の概念がつまった興味深い説が多いので、是非チェックしてみてください。
1:毛の色があんこに似ているため
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古来の日本では黒猫の色はあんこに似ていると考えられ、「あんこ猫」とも呼ばれていました。そしてあんこは大昔の日本では大変貴重な食べ物で、めでたい祝い事の席でしか食べることができなかったため、あんこ猫の存在もめでたく縁起の良いものとして考えるようになったのです。
2:結核が治ると言われていたため
江戸時代に入る頃には、黒猫は当時不治の病とされた結核(当時の呼び名は労咳)を治すご利益があると考えられていました。結核で苦しんでいた人が黒猫を飼っていたら治ったという逸話もあり、信憑性のあるご利益ではありませんが多くの人々に信じられていたそうです。かの有名な新撰組の沖田総司も結核で苦しんでいたため、黒猫を飼っていたと記録されています。
3:暗闇でも目がはっきりと見えるため
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黒猫は暗闇でもよく見える瞳を持っているため、困難な状況でも見通しを立てることができる光の象徴として考えられました。黒猫の光る瞳がどん底の環境にさす一筋の光となり、様々な問題を乗り越える力をくれると信じられていたようです。黒猫のモチーフで瞳が目立つように描かれることが多いのはそのためでしょう。