えんがちょのやり方
えんがちょには手や言葉により定形の動作があります。動作ごとの意味が異なったり、またじゃ地域別に同じ意味合いで別の動作が生じていたり、動作の由来は様々です。ここからはその動作の詳しいやり方と、意味合いをご紹介します。
防御する・縁切りをする場合
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穢れから自分を守るために防御や縁切りをする際のえんがちょには、1人でできる指を使ったポーズが3種類存在します。1つは人差し指の後ろに中指を回しクロスするように組み、残りの指は折りたたむポーズ。もう1つは握り拳を作り、人差し指と中指の間から親指を突き出すポーズ。そして最後は両手の人差し指でばつ印を作るポーズです。
どちらも穢れへの防御、縁切りの効果を持つとされ、穢れた人やものに向けてそのポーズを取るだけでえんがちょが完了します。3つのポーズは古来から使われてきた意味合いのようにおまじないに近いえんがちょから、現在の軽い意味合いで遊びに近いえんがちょまで対応しているので、えんがちょの基本として覚えておくと良いでしょう。
指のクロスポーズ:海外ではフィンガーズクロスとも呼ばれ、十字架を象った魔除けや厄除けのサインとして使われています。何かを祈る際にも使われるメジャーなポーズでもありますよ。えんがちょの指のクロスも、この聖なる魔除けサインからきたものではないかという説もあります。
握り拳のポーズ:握り拳から親指を突き出すポーズは海外ではフィグサインとも呼ばれ、日本を含めたいくつかの国では侮辱的なポーズとして知られているので行う際には注意が必要です。一方でブラジルでは幸運のポーズとして親しまれています。
ばつ印のポーズ:特に侮辱的な意味などは持ち合わせていないポーズなので、3つのポーズの中では1番無難。しかしえんがちょのポーズとしてはあまり有名ではありません。
相手を穢れから解放する場合
穢れを持った人が人差し指と親指で円を作り、他社に手刀でその丸を切ってもらうと言う2人で行うえんがちょの方法もあります。このやり方は穢れが付いた人を穢れから解放するえんがちょなので、誰かに穢れを擦り付けるなどと言う争いを解消してくれるありがたいものです。
ちなみにこの際に手で作る円は縁と言葉がかかっており、「円(縁)を切る」と言うことで手で作った円を切ると考えられています。またこの方法は1人では行えないえんがちょなので、動物のフンを踏んでしまったりして穢れが付いた場合などに他人にやってもらう必要があるのが難点。鬼ごっこのような遊びにはつながらないため、子供同士の間ではあまり流行しなかったようです。
えんがちょを使っていた対象
ここからはえんがちょがどんなものや人に対して使われていたのかをご紹介します。一言で穢れと言っても一体どんなものだったのか詳しく知ることで、古来からのえんがちょの文化の雰囲気やニュアンスが分かるでしょう。
不潔な人・貧しい人
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不潔な見た目や雰囲気の人にえんがちょを使うことがあり、このケースは主に小学生の間で悪戯やいじめのように行われることが多いようでした。家が貧しくて同じ服を何日も着ている子供や貧相な見た目をしている子供によく使われていたようです。戦前から昭和にかけてはこのようなことも珍しくなく、悲しいことに貧困層に対する差別用語としても定着していたと考えられています。