忌み嫌われた人・差別されていた人
大昔の日本には階級制度があり、下の階級に対する差別も存在していました。今の日本とは異なり武士や農民や非人などの階級分けが行われていたので、それぞれの人の就ける仕事や生活レベルにもとても差があったと言われています。そんな社会背景もあったため、えんがちょは差別用語として使われるようになっていったようです。
穢れに触ってしまった人
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犬のフンを踏んでしまったり虫を踏み潰してしまったりなど、何か穢れと思われるものに触れてしまった人に対してえんがちょは使われることが多かったようです。またこのケースに関しては真剣にその人に対して差別を行うような意味合いではなく、子供の遊びの園長として行われていました。現在でも年代によって使う人がいても不思議ではありません。
死んだ人間やその他の生物
死は古来より穢れに近いものとされ忌み嫌われてきました。そのことが転じて人間を含む動物の死体を見た際などにはえんがちょを行う人が多かったようです。平治物語のさらし首を見る群衆がえんがちょのポーズをとっていたのもこのため。死と自分の縁を切っておくために行う大切なおまじないだったのです。
有名なジブリ作品にもえんがちょは登場していた
えんがちょのポーズは有名なジブリ作品の1つである「千と千尋の神隠し」にも登場しています。主人公が作中に出てくる呪いの虫を踏みつけてしまい、他のキャラクターにえんがちょを行ってもらい穢れを取り除く描写が登場するのです。
この際に行われるえんがちょは、人差し指と親指で丸を作り他者に手刀で切ってもらうと言う方法で行われています。主人公を穢れから解放するのが目的のえんがちょなので納得ですね。またこのシーンはんがちょを知らない若い世代には少々伝わりづらい名シーンとしても話題になったようです。
日本各地のえんがちょ
えんがちょには日本各地で様々な異なる名前が付けられており、その数はとても膨大。地方や県や地域によってとても細かく分かれている場合もあり、一言にえんがちょと言っても伝わらないこともあります。そこでここではえんがちょの地方ごとの様々な呼び方をご紹介。出身地域などを確認してみてください。
北海道:えったちーんき
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北海道ではえんがちょのことを「えったちーんき」と言うことがあります。このえったとはロシア語が由来とされており、ロシアの鬼ごっこで鬼が逃げる人を捕まえる際に言う掛け声の「エータ」から作られたとされています。
またちーんきの部分の由来が不明とされていますが、消毒液のヨードチンキから作られたのではないかと考えられていますよ。消毒で浄化の意味合いが似ているので、一理あると言えますね。北海道ならではのロシア語のテイストと庶民的な消毒液の組み合わせで新しいえんがちょが生まれたようです。