今回はそんな扇が縁起の良い物とされている理由、そしてその由来をスピリチュアル好きの筆者が解説!扇の持つ不思議な話や歴史をチェックしてみましょう。
- 扇は日本で大きく進化した伝来品
- 扇が縁起の良い物とされる6つの理由
- 1:本来扇は高貴な人の使うものだった
- 2:神様に奉納する舞で使われるものだった
- 3:末広がりの形をしているから
- 4:験担ぎに使われていた
- 5:神様を招くお守りとして考えられていた
- 6:魔障や負の気を払う物として使われている
- 扇が縁起物として捉えられない場合もある
- 扇の種類とその意味
- 舞扇子:主に伝統芸能で使う扇
- 夏扇子:涼をとるための扇
- 祝儀扇:祝い事の席で使われる扇
- 檜扇:宮中で使われていた扇
- 飾り扇子:験担ぎやお祝いで飾られる扇
- 扇の絵柄ごとの意味
- 竹柄:力強く健やかな成長を祈る
- 波柄:厄落とし・魔除け
- 蜻蛉柄:前身・物事の成就
- 鶴柄:長寿や健康・夫婦円満
- 蝶柄:華やかな成長
- 扇柄のアイテムを使用するのもおすすめ
- 扇の上品な使い方
- 上品に涼をとる
- 好きな香りを付けて使う
- 挨拶時に膝前へ持つ
- 縁起物の扇をおしゃれに取り入れてみよう!
この記事の目次
扇は日本で大きく進化した伝来品
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扇は紀元前の中国や古代エジプトで用いられていたという記録があり、発祥は中国であると考えられ、そこから東アジア全体に広がったとされています。風を起こす実用的なものや、王に使えるものが装飾として使うものなどが展開されていました。
そんな扇は利田遺跡からの出土や、「万葉集」や「続日本紀」などの登場により、日本にも文明発祥時から存在していたことが判明しています。起源に関しては諸説ありますが、折りたたむことできる「檜扇」や「蝙蝠扇」は日本で生まれたと考えられているそうです。これは、第14代天皇を務めた神功皇后が、蝙蝠(コウモリ)の羽の構造に着想を得て作られたという逸話に裏付けられています。
それから扇は形式を確立して西洋へと渡り、世界中で親しまれる煽具となりました。西洋でも扇は独自の変化を遂げていき、貴族の持ち物として普及し、ロココ調の優雅なデザインが数多く展開されたのです。このような西洋の扇は「洋扇」と呼ばれています。
扇が縁起の良い物とされる6つの理由
ここからは、扇が縁起物として考えられているスピリチュアル的な理由を紹介していきます。扇の歴史を踏まえて、扇に隠されためでたい意味合いや高貴な力をチェックしてみましょう。
1:本来扇は高貴な人の使うものだった
古来の日本で扇は、位の高い高貴な人々の使うものでした。庶民は扇で自信をあおぐような生活とは程遠い暮らしをおくっており、いつしか扇は庶民の憧れとなったのです。それが転じて「扇を持っていると高貴な人々のような生活が送れるようになる」と考えられるようになり、やがて扇は幸せや富の象徴、縁起の良い物、と認識され始めたと言われています。
2:神様に奉納する舞で使われるものだった
扇は神様に捧げる舞で使われる神聖な物でもありました。日本では昔から祭事や季節の行事で神様に美しい舞を奉納し、無病息災や五穀豊穣が祈っています。その際に使われる扇は、そんな舞に優雅さや美しさを加える重要な物なのです。
そんな扇はいつしか、本体にも神聖な力が宿っていると考えられようになりました。神様に祈りや思いを伝える道具として、本体自体が縁起の良いものと認識されるようになったのです。そんな扇を日常生活に取り入れることは、神様の神聖な力の恩恵を受ける近道だとされています。
3:末広がりの形をしているから
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端に向かってどんどん広がった扇の形は、日本で古くから縁起が良いとされている「末広がり」の形と同じであるため、縁起物であるとも考えられています。日本最大の霊山である富士山の形を模って縁起が良いとされている末広がりに、扇の形も当てはまるとされたのです。
そのため神様が祀られる霊山と同じ末広がりの扇は、持っているだけで神聖な力の恩恵が受けられるという認識が広がりました。形もめでたいため、縁起物として祝いの席で使われたり、贈り物として好まれたりするのはそのイメージに由来しています。
4:験担ぎに使われていた
古来より扇は、呪術的な儀式の中での験担ぎとしても使われていました。実際に多くの戦国武将は呪術者や陰陽師を家臣に加え、戦の流れを変えるような呪術を行なっていたそうです。そんな呪術に用いられることの多かった扇は、戦の勝ちをを運ぶ神聖なものとして考えられるようになりました。運命を変える高貴な力を持つ扇は、庶民のお守りとしても広まったのです。
5:神様を招くお守りとして考えられていた
古来より日本では、拍手や鐘を鳴らすなどの空気の振動で神様を招くことができると考えられています。特に風を起こして空気を動かす扇は、神様を招く神聖なものとして認識されました。祭事や儀式で扇を用いることが多いのはそのためです。神様を招く力を持つ扇を持つことは、神様の恩恵を受けられることだと考えられたため、縁起物として庶民に広まったとされています。
6:魔障や負の気を払う物として使われている
古来より扇は、人間に危害を加える魔障や負の気を祓う力を持っているとも考えられてきました。特に自然霊である天狗の持つ扇の「羽団扇」は飛行や自然現象を操るなどのたくさんの力に加え、持っているだけで悪霊や妖魔を退散させると伝えられています。つまり天狗の扇には、強大な神通力が宿っているということです。それが転じて扇にも、魔障を払う力があると信じられるようになりました。
また、大地の力を司る護法魔王尊(ごほうまおうそん)の持ち物であったとされる「降魔扇」も、悪霊や魔障を払う力を持つ扇であったとされています。そんな降魔扇を模った小さな扇は、護法魔王尊を祀っている京都の鞍馬山の鞍馬寺にて販売されていることで有名です。降魔扇は小さな扇で、負のものや邪念を祓いたい時に使うと良いとされています。