5:随意圧処(ずいいあつしょ)
随意圧処(ずいいあつしょ)は、嘘を付いて他人の不動産や土地を奪った人が落ちる場所。まる鍛冶師が刀を作るかのように罪人を火で焼き、鉄槌で打った後に引き延ばさし水で固められます。そして、再び火で焼き鉄槌で打った後固めるという作業が延々と続く地獄です。終わりのない苦痛が準備されていますよ。
6:一切闇処(いっさいあんしょ)
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一切闇処(いっさいあんしょ)は、配偶者のある人や自分より立場の弱い者(女性や子供)を無理矢理性愛した挙げ句、嘘をついて貶めた人が行く地獄です。ここでは2つの刑があり、一つは手を後ろに縛り上げ、正座をした膝の上に平べったい石の塊をのせる石臼刑。地獄なのに苦痛が少なそうな刑に思えますが、膝の上に重たい石をのせていくと、じわじわと肉が裂け重みで骨が砕けていきます。徐々に増える苦痛は、耐えがたいものといえるでしょう。
もう一つは、頭を二つに裂いて舌を引き出し、熱々に熱した鉄の刀で引き裂くというもの。舌は引き裂かれてもすぐに生えてくるので、延々と繰り返されます。
7:人闇煙処(じんあんえんしょ)
お金が十分にあるのに、ないと嘘をついてお金を騙しとった人が向かう先は、人闇煙処(じんあんえんしょ)です。獄卒に大斧で体を薄くスライスされ、時にはスライスされた部分から毒虫を埋め込まれます。身体の中からじわじわと腐り果てていく苦痛を味わうことに。
更に、それを何度か繰り返したら、油がぐつぐつと煮えたぎった鍋の中に落とされます。この行程を、地獄を出られるその日まで繰り返すのです。
8:如飛虫堕処(にょひちゅうだしょ)
人々から得た物を高額で販売し、自分には利益が無かったと嘘をついた人が行く地獄が、如飛虫堕処(にょひちゅうだしょ)です。獄卒が罪人を斧で切り裂き、切り裂いた部分を秤で計ります。それを群がる犬達にたべさせるというもの。周囲には罪人の肉を食べる虫も飛び交っているので、罪人に苦痛を与えるのは獄卒や犬達だけではありません。
9:死活等処(しかつとうしょ)
僧侶ではないのに僧侶の格好を真似て人を騙し、人を騙して強盗をした人が落ちる地獄が、死活等処(しかつとうしょ)です。他にも、死にたくないのに死にたいと自殺をほのめかし、周囲に迷惑をかけた人も、ここに落ちますよ。死活等処では、獄卒に苦しめられている罪人の前にしばしば青蓮華の林が出現します。
しかし、ここは地獄なので青蓮華の林は幻です。助けを求めて駆け寄ると炎の中に水から飛び込むことになるはめに。他には、両目をえぐられ、両手足も切り落とした状態で焼き殺されることもあります。
10:異々転処(いいてんしょ)
陰陽師などの優れた能力を持っており、周囲からの信頼を得ていたのにも関わらず、人の信頼を裏切って己の欲望を満たすためだけに、優れた能力を使用した人が落ちる地獄が異々転処(いいてんしょ)です。自分が生前に犯した罪をしっかりと理解するために、まずは立場を変えて体験することに。責め苦を味わっている最中に、親や兄妹などの幻が現われ、助けを求めて駆け寄ると、焦熱地獄の様な熱さをした河川に落ちてぐつぐつ煮られます。
灼熱の河川には、地獄で生きる毒を持った魚・蛇・昆虫・鳥類などがおり、今度は餌として襲われるという…。なんとか再生して河川から上がると、再び同じような幻の自分物が出現し、駆け寄ると今度は地面の鉄鉤で切り裂かれ、回転ノコギリのようなもので切り刻まれる仕組みです。異々転処はあまりの苦痛に、殺してくれと罪人が懇願するそうですよ。
11:双逼悩処(そうひつのうしょ)
二枚舌を使って人々を欺き、嘘や悪口を言って平和を乱した人が送られるといわれるのが、双逼悩処(そうひつのうしょ)です。双逼悩処には炎の牙を持つ獅子がおり、罪人を口の中で何度も噛んで苦しめます。他にも、獄卒に首をへし折られたり斬られたり、頭を切り落とされることもあるそうです。時には、切り落とした首を違う罪人の身体にくっつけて再生させる嫌がらせを受けることも。