事例:安心・安全に囚われる人
Cさんは高校生の女の子。彼女は荒んだ家庭で育ちました。家にいれば両親からの暴力や暴言を受け、学校もほとんど通っていません。彼女は家出をして友達の家を転々とします。しかし、友達もいつまでも彼女を家においておけずに彼女は公園などで寝泊まりするようになりました。お金もなく食べ物もない、最後にすがったのは暴力が待ち受ける自分の家でした。
なんとか家に帰ったCさんは、案の定再び両親から暴力を受けます。耐えかねて近所の交番に逃げ込み、児童相談所の一時保護所に保護されることとなりました。
彼女は保護所に入った後、しばらくは落ち着いていました。しかし、数日もすると「お家に帰りたい。」と訴えます。ついには、保護書を抜け出し自宅へ帰ってしまうのでした。
囚われた過去と決別するには?
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ここまでは過去にとらわれてしまう3つの原因と3人の事例をあげてきました。彼らはたしかに思い悩み、様々な苦しみを耐えていました。ここからは原因と事例を元にどうやって囚われた過去と決別するのでしょうか?
それは「過去を受け入れること」「どうしてよりもどうするか、と自問すること」これだけなのです。
目をそらさず過去を受け入れよう!
自分の体験や感情をまるで外から眺めているように観察することを心理学用語でメタ認知といいます。これが過去からの脱却への第一歩です。過去に囚われた人は、必ずうまくいかなかった、納得できなかったことに対して次のような否定をしてしまいます。
・こんなはずじゃなかった。
・それはなにかの間違いだった。
まずは、これらのことを受け入れることから始めます。自分の思いを入れ込まず、起きたこと、あったものだけを思い出し受け入れることで「思っていたより単純だった」、「別の方法があった」など新しい視点が見えてくるでしょう。
思考をWHY(どうして)からHOW(どうするか)へ転換しよう!
過去に囚われているとき人は物事に対してWHY(どうして)と考えてしまいがちです。しかし、メタ認知が進むとそれらをHOW(どうするか)に変えることができます。
なぜかというと、起きた物事の仕組みがはっきりと見えるようになるからです。どのような要素が重なり、周りの人がどう思っていたのか、自分はどう感じているのかを並べることで「次はどうしよう」と計画立てることができます。WHYはネガティブな言葉として、そしてHOWはポジティブな言葉として捉えることもこともできますね。
未来を見つめて一歩を踏み出してみよう!
私達の本能は生命を守るための機能ですが文化が発達した現代社会では時に足かせとなってしまうというジレンマがあります。
しかし、これらを乗り切るために大切なことは次のたった2つです。
・過去を受け入れること
・過去をどうするか(HOW)決めること
この記事を読んだあなたはすでに過去から抜け出したいと思っているはず。「不安定」な場所も知ってしまえば「安定」した場所となりあなたを支えてくれます。ぜひ未来への勇気ある一歩を踏み出してみてください。