両面宿儺とは?2つの伝承と両面宿儺をモデルとした3つの作品をスピリチュアルな世界に詳しい筆者が解説! – Mistory[ミストリー]
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両面宿儺とは?2つの伝承と両面宿儺をモデルとした3つの作品をスピリチュアルな世界に詳しい筆者が解説!

「両面宿儺(りょうめんすくな)」という名称は、あまり聞いたことがないかもしれませんね。両面宿儺という名前が知られるようになったきっかけは、漫画の主人公に取りつく悪鬼として登場していることからです。アニメ化されたこの作品中の両面宿儺は、呪術界の王として描かれていますが、本来の両面宿儺とはどのような存在なのでしょうか?ここでは日本の古代史とスピリチュアルな世界に興味がある筆者が両面宿儺について詳しく解説します。

両面宿儺とは?

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「両面宿儺」は、日本書紀の一説にこの世のものとは思えない不思議な姿をした人々にとって手に負えない悪行を重ねる存在として登場しています。一般的にその姿はふたつの顔を持ち、それぞれ4本の手足があり、身長は2メートル以上もある大男として描かれているようですね。一説では土蜘蛛ともいわれているとか。しかし、実在の生き物なのかは、全く分からないというのが実情でしょう。

実は双子だった?英雄の言い伝えも

両面宿儺は、結合双子ではなかったのかともいわれています。当時は山奥である飛騨地方は、外界との接触が少なく同じ血族での婚姻が多かったために血が濃くなりすぎ、何らかの障がいを持った子が多く生まれていたとのこと。当時は障がいを持った子どもたちは家の「宝物」として大切に育てられていたといいます。または双子の兄弟であったという説もあるようですね。

大和朝廷の歴史書として知られる「日本書紀」にはわずかな記述があるのみです。ただ、岐阜県の飛騨地方においてはいろいろな言い伝えがあり、ほとんどの言い伝えでは両面宿儺は「英雄」として描かれているということは驚きですね。

両面宿儺に関する2つの伝承

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両面宿儺は、「日本書紀」ではどうしようもない悪い存在として描かれていますが、岐阜県の飛騨地方では素晴らしい存在として寺や仏像などが作られており、祠や寺などで手厚くまつられているといいます。ここでは、その異形と同じように「悪鬼」と「英雄」というふたつの側面を持つ両面宿儺について「日本書紀」の記述と岐阜・飛騨地方の言い伝えを詳しく解説していきましょう。

伝承1・日本書紀に登場する両面宿儺

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日本書紀における両面宿儺は、人々を脅かす悪鬼として登場しています。日本書紀での記述自体はわずかですが、大和朝廷の仁徳天皇の時代の4世紀後半(377年ごろ)に現れた厄介者の人物として描かれているようですね。両面宿儺は、人々にあまりにも悪さをするために和珥(わに)氏の祖先といわれる武振熊命(たけふるくまのみこと)によって討伐されたと記述されています。盗人としての記述もあるようですね。

日本書紀の記述ではどうしようもない怪物として描かれていますが、実際は岐阜県の飛騨地方を統治していた土着の豪族だったと考えられるでしょう。日本の統一を目指す大和朝廷にとって、自らに反旗を翻して抵抗する豪族たちはすべて朝敵でした。農耕文化を中心として勢力を強めていった弥生文化系の大和朝廷は、狩猟などを中心とした縄文時代系の生活を送っていた山岳地帯に居住する地方の豪族たちを服従させていったといえます。そのなかで両面宿儺に代表される飛騨の豪族の一部が朝廷にたてつき、激しく抵抗していたのでしょう。そのため大和朝廷の歴史書である日本書紀には、両面宿儺は大和朝廷に弓を引く怪物と記述されているのです。

両面宿儺が朝敵として記述された背景は、両面宿儺が持っていた優れた統治者としての能力を恐れていたということもいえるかもしれませんね。実際に日本書紀の記述を読み解いてみると、飛騨地方の豪族の頭領としての両面宿儺の統率力は素晴らしいものがあったともいえるでしょう。ただその存在は、まだ実証されていないということです。

伝承2・岐阜県近郊に残る両面宿儺の伝承

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岐阜県の飛騨地方では、多くの両面宿儺にまつわる伝承が残されているようですね。そして飛騨地方で見ることができる両面宿儺の言い伝えの中では、怪物や盗人ではなく「英雄」。飛騨地方の豪族として大きな力を有しており、人々に「農業の方法を伝授した」などの優れた統治者としての側面を見ることができるといえるでしょう。

両面宿儺は高山市丹生川町が出生地といわれており、丹生川町にある千光寺という寺院の開祖であるという伝承が残っています。また、関市下ノ保の日龍峰寺には少し変わった両面宿儺の言い伝えがあるといわれているようですよ。この地域の山には昔とても悪さをする龍が住んでいました。両面宿儺はこの悪さをする龍を退治たといわれており、退治した龍の体から大量の血が流れ出ました。この血を吸ったのが、農民たちの血を吸い苦しめていたヒルでした。ヒルは、龍の血を吸ったために絶滅してしまったといわれています。そして今もこの地域にはヒルは全く生息していないという「ヒルの川伝説」と呼ばれる言い伝えがあるそうですよ。

また、生涯で12万体の仏像を彫ったといわれる江戸時代の修行僧である円空は、飛騨地方で両面宿儺をモデルとした仏像を製作しています。円空が彫った両面宿儺の木彫りの仏像のふたつの顔は、正面を向いている柔和な顔ともうひとつは少し怒ったような表情の顔であり、円空にとって両面宿儺は決して悪さをする怪物ではなかったと考えることができるでしょう

両面宿儺をモデルとした3つの作品は?

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両面宿儺は、一般に広く知られているキャラクターとは言えませんが、呪いやオカルトなどの心霊現象を主題としたおおくの作品に登場しています。ここではそのなかでもとくに人気のある「呪術廻戦」・「地獄先生ぬ~べ~」・「ウルトラマンティガ」の3つの作品を紹介しましょう。

作品1・呪術廻戦

両面宿儺という名前が現代に知られるようになったきっかけはやはり「呪術廻戦」という作品によるところが大きいといえますよね。漫画の連載とともにアニメ化されたことでより多くのファンをもたらしています。

物語の主人公は両親を亡くし祖父に育てられた虎杖悠仁(いたどり ゆうじ)。彼は、1000年間出生することがなかったといわれる特別な体質を持っています。その特別な体質とは、邪悪なものをも吸い込んでも自分自身を保つことができる、つまり邪悪なものに体を乗っ取られることがないというもの。この体質を使って解き放たれた両面宿儺の力を封じ込めようとする物語です。術式などの特別な言葉の展開も魅力のひとつといえるでしょう。

ここで登場する邪悪の化身のような両面宿儺は、日本書紀で描かれている邪悪な両面宿儺がモデルといわれています。かなり強烈なイメージを持つキャラクターといえるでしょう。

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