グノーシス主義とは?異端な宗教運動?3つの特徴からスピリチュアリストの筆者がわかりやすく解説 – ページ 2 – Mistory[ミストリー]
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グノーシス主義とは?異端な宗教運動?3つの特徴からスピリチュアリストの筆者がわかりやすく解説

2:キリスト教と相反する教理を持つ

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キリスト教の教えと融合しているキリスト教的なグノーシス主義がある一方で、基本的にグノーシス主義はキリスト教と相反する教理を持っているとされています。まずグノーシス主義では、特別な知識を有している選ばれし人間だけが救済を得られると考えられていますが、キリスト教では誰でも救済を得る権利があると考えているのです。このようにグノーシス主義は、イエス・キリストによってグノーシス(知識)が得られるという考えがある一方で、思想のさまざまな点でイエスを否定しているとされています。

さらに聖書ではイエスが本当の人間として罰を受け、人類の罪を償ったとしている点についても、グノーシス主義では否定的です。グノーシス主義はイエスの持っていた肉体は現実のものではなく、肉体のように見えただけであったと信じます。キリスト教と違い、グノーシス主義はイエスの人間性を徹底的に否定するスタンスなのです。

参考:GotQuestions 「クリスチャン・グノーシス主義とは何ですか?」
https://www.gotquestions.org/Japanese/Japanese-Christian-gnosticism.html

3:反宇宙論的な二次元論

グノーシス主義では、「本来の自己を取り戻した人間」に救済が訪れるとされ、救済されるまでには「本来の自己ではない人間」が存在することとなります。本来の自己、非本来の自己の2つが確実に存在するという方針なので、ここで二元論が確定しますね。そして本来の自己が究極的な存在、つまり最高神に由来するのに対し、非本来の自己は宇宙の創造神に由来するとされているのです。

つまり、救済が必要な不完全な状態は宇宙側に属していると考えられ、このポイントが非常に反宇宙的であるといわれています。宇宙の創造神と究極的な最高神は対立関係にあると考えると、さらに反宇宙的な側面が把握しやすいでしょう。最高神から派生して生まれた低位の創造神の支配下にある非本来の自己を抱える我々人間は、本来の自己に対して無知な状態だとされています。

さらにグノーシス主義では、我々人間が自分でこの無知な状態に気付き、本来の自己に到達することは基本的に不可能。自分ではなく、外部の存在が知恵を与えることで本来の自己に到達して救済されると考えられています。そしてキリスト教的グノーシス主義においては、この知恵を授ける外部の存在がイエス・キリストになるのです。

参考:一 橋論叢 弟六十巷 第二号 (88) 『グノーシス主義の起源について』荒井献氏
https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/hermes/ir/re/2598/ronso0600200880.pdf

グノーシス主義の主軸

  1. 最高神と人間が本来到達すべき本来の自己は本質が同じである
  2. 物質的世界に生きる肉体を持つ人間は堕落しているという反宇宙的二元論
  3. 本来の自己に到達するためには外部の救済者から知恵を授かる必要がある


参考:一 橋論叢 弟六十巷 第二号 (88) 『グノーシス主義の起源について』荒井献氏
https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/hermes/ir/re/2598/ronso0600200880.pdf

グノーシス主義は日本人が親しみやすい思想?キリスト教とどう異なる?

グノーシス主義は知恵を授かることができた特別な人間だけが救済されるという思想であり、基本的に全人類に救済の機会があるとするキリスト教とは大きく異なります。また、イエス・キリストの人間性を強く否定している点でもキリスト教から異端扱いされました。中にはキリスト教の思想を反映したキリスト教的グノーシス主義も存在しますが、根本的な考えや救済の方針は異なると考えて良いでしょう。

また、キリスト教の布教が成功しなかった数少ない国として有名な日本は、グノーシス主義の方が受け入れやすいという考えもあります。これは、グノーシス主義の考えが「知識」や「覚醒」に重点を置いており、仏教の「悟り」と似ているから。イエスへの信仰を強く求めるキリスト教への考えが受け入れ難い、理解しにくい日本人にとっては、自己の覚醒や人生を切り開く知恵を重視するグノーシス主義の方が理解しやすいのです。

参考:ナショナルジオグラフィック 日本版 『中沢新一氏・マービン・マイヤー教授対談録』
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/topics/marbin0906.shtml

グノーシス主義は現代においてどんな存在?

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グノーシス主義は高次の世界に存在するは絶対的かつ永遠的な最高神と、物質的な世界を創造した堕天の神の対立をはっきりと定義している宗教思想です。そしてこの明暗のはっきりとした異端な考えは、現代のオカルティズムに通じているという考えがあります。特に西洋の宗教史におけるオカルティズムには大きな影響を与えました。

また、自分の本質が霊的なものであり、それが本来の自己であるというグノーシス主義の考えも大変オカルティックなものと考えられます。強烈で斬新、かつ過激であったグノーシス主義は他の宗教思想や運動によって異端しされ衰退しましたが、現代の思想にもその爪痕を深く残しているのです。

参考:東洋経済 ONLINE 『なぜ人間はオカルトにハマってしまうのか? 『現代オカルトの根源』の著者、大田俊寛氏に聞く』
https://toyokeizai.net/articles/-/18156?page=2

『エヴァンゲリオン』はグノーシス主義に通ずる?

世界的人気アニメ作品『新世紀エヴァンゲリオン』は、グノーシス主義と共通する点の多さが指摘されています。新世紀エヴァンゲリオンは、作品全体に終末思想が満ちているのが特徴です。人類を単体として完全な生命へと進化させるための「人類補完計画」が実行される物語で、死や滅びが新生や再生の通過儀礼であるという表現も登場します。そして人々が生命の源という高次元な世界へ回帰し、そこで自他境界の曖昧なユートピアを表現するのです。エヴァンゲリオンは物語の中で人類の歴史の否定と原点への回帰を目指します。

グノーシス主義において人間は、低位の神であり悪であるデミウルゴスにより肉体という堕落した物体に閉じ込められ、本来の自己を失っている状態です。そして知恵を得て肉体から解放されることで、高次の最高神のもとへいき救済を得るとされています。つまりこの滅びて救済されるという流れが、エヴァンゲリオンとグノーシス主義の大きな共通点なのです。

参考:『新世紀エヴァンゲリオンの終末論』ー終末論的伝統の「東」と「西」との比較文化論的考察ー 十津守宏氏
https://cir.nii.ac.jp/crid/1050282812619902208

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