6.長寿:再生を繰り返す
ウサギと対になるもののひとつ、夜空に浮かぶ月の存在は無視して通れません。定期的に満ち欠けを繰り返す月は、誕生と死亡、再生を繰り返す息の長い存在、つまり長寿の象徴です。あらゆる生き物が今生で亡くなってもまた来世に生まれ変わる転生をひとつの魂の長い一生ととらえれば、長寿として考えることができます。
同じようにウサギも自然界では夜に活動する生き物として、その習性が解明されていなかった時代には月夜に跳ねるミステリアスな動物ととらえられていたはず。日本では月で餅つきをしているのはウサギと決まっていて、再生を繰り返す月とウサギとの深い関係性を読み取れるのです。
7.幸運:出会いが幸せを呼ぶ
多くの文明でたいていの場合ウサギは幸運をもたらす生き物としてとらえられています。よい知らせは健康運、金運、恋愛運など多岐に渡ってやって来るのですが、中でも就寝中の無意識下でにウサギの夢を見た時には特に最高の幸運が舞い込む知らせとも言い伝えられていますよ。
架空の生き物イースターのウサギは春という季節、卵を産み、飾り、隠すという一連の行為から地上に命をもたらす存在、つまり幸運のシンボルとされてきました。月初めの一日の日に「ウサギ!」または「白ウサギ!」と大声で3回唱えると30日の間幸運が続くという古い迷信も英国と北米では今も健在です。
ウサギの出てくる伝説・言い伝え6選
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身近な生き物だからウサギに因んだ逸話も世界各地に見つけることができます。神話の時代から登場するウサギはその他の動物の中でしっかりした位置づけをされた生き物。どのようなとらえられ方をしているのか、改めてピリチュアルな観点からウサギを見てみましょう。
1.エジプト:死後の世界とつながる生き物
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エジプトでは壁画などに見られるように、神々を人の身体に動物の頭を持つ姿で表してきました。ウサギの神は多くない中で目立つのが女神ウェネト、頭も身体もウサギ型の女神です。エジプト神話で中心的な存在ではありませんが、対になる夫神と共にエジプトの第15州ノモトの都ウェヌの守り神。古代エジプト文字ヒエログリフで表された死者の書にもすでに登場しているところから、ウサギは黄泉の国とつながりのある生き物と考えられていたようです。
2.アステカ:飲酒と酩酊のシンボル
ウサギはアステカ文明において堕落や暴飲のシンボルとして知られていました。神話の中に登場するセンツォン・トトテティン/400羽のウサギという飲酒と酩酊を象徴するスピリチュアルな存在は、しょっちゅう酔っぱらう為のパーティーを開いていたといわれています。アルコール飲料が作られる土地の植物リュウゼツランの守護女神マヤウェルは、センツォン・トトテティンの母親であり母性と豊穣の象徴です。アステカ暦の上でウサギの日に祀られていることでも、やはりウサギとの強い関連性があるといえます。
3.ケルト:スーパーナチュラルな生き物
常に精神世界をバックボーンに持つケルトの社会では、ウサギを他の世界からやってきた特別な存在として認識してきました。ウサギの跳ね跳ぶ姿をまるで空中で変身しているかのように見ていた時もあったようです。またウサギを傷つけると不幸を呼ぶとされ、生者と死者の国をつなぐ偉大なエネルギーを持つものとして祈祷師の行う儀式に使われていたとも伝えられています。