どうしてそんな気持ちになるの?そして、そんな時はどうしたら良いの?この記事では心理学の観点からお母さんと子ども、両方の原因とメカニズム、そしてイライラした時の対処法をご紹介します。
子育て中のイライラ、心理学的に見た時の4つの原因・メカニズムはこれ!
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愛しいわが子にイライラしてストレスが溜まるのはとても悲しいことですね。しかし、生まれたばかりの赤ちゃんは泣くばかりで、2歳頃から始まるイヤイヤ期は「こっちが泣きたい!」と爆発してしまいそうなのがママの本音でしょう。
子育てのイライラの原因、そして心のメカニズムについて心理学の観点から見てみましょう。
その1.子育ては難しく大変なもの!
子供は生まれてから1歳数カ月までは言葉を話すことができません。泣くか、笑うか、怒るかで自分の感情を伝えようとします。そのため、お母さん・お父さんはじめ家族はその子が何を求めているかを常に想像しなければなりません。
言葉を話すようになってからは、何に対しても「イヤっ」と拒否したり、自分の主張を無理にでも通そうとするようになる「イヤイヤ期」が始まります。それに対応することの大変さは筆舌に尽くしがたいものですよね。
このように、生まれてから数年は毎日必死の子育てが続きます。その後も成長に従って友達との関係や勉強など、その時々で悩みは尽きません。その上で家事・仕事を両立しなければならないとなると、余裕はなくパンクして投げ出したい時があって当たり前でしょう。
想像力・対応力・適応力・マルチタスクスキル…様々な能力を求められる子育てはとても難しく、大変なものなのです。
その2.愛する子供にイライラしてしまうのはなぜ?
子供は生まれてから数年は言葉をうまく話すことができません。そのため、大人は子供が話している(つもりの)内容を想像しなければならず、想像して対処した結果が間違っている場合も多々。大人同士のようにスムーズにいかないコミュニケーションは、イライラの原因になってしまいます。
例えば「今から洗濯をしよう」と思って洗濯物を洗濯機に入れようとした時、「ママ―!」と呼ばれて行ってみると、そこには泣きべその子供とこぼれた牛乳…。思わず「はぁー」と大きなため息が出そうな場面ですね。子育てしていると「やろうとしていること」が中断されるのは良くあること。
そのような「予期しない障害」に出会った時、「怒り」の感情が起こりやすい、とアメリカの心理学者マクレランドが60年以上前に述べています。そしてその「怒り」の感情は、直接的に対象を攻撃できない状態で明確に強く体験されるとのこと。
つまり、子供が原因で怒っているのだけれど、愛しいわが子を叩いたりして怒りを発散するわけにはいかない、と自制することによってよりイライラが募る…というメカニズムです。大切な子供を守ろうとする気持ちが、よりイライラを生んでしまうのですね。
その3.泣きたいのはこっち!イヤイヤ期がおきる理由
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2歳を過ぎると、何についても「イヤっ!」と拒否したり、自分のいうことを無理に通そうとすることが多くなりますね。この時期が第一反抗期(イヤイヤ期)といわれ、海外でも「Terrible Two(魔の2歳児)」と恐れられているそう。親にとって非常に厄介なイヤイヤ期…なぜ、このような時期があるのでしょうか?
精神分析療法と精神分析学を創始したフロイトは人間には「自我」というこころの領域があることを提唱しました。「自我」とは、自分を現実に適応させようとする働きのこと。そして、「イヤイヤ期」はその「自我」が芽生える時期なのです。
こころが発達し、その影響で自分の考えを持てるようになり「自立」への意識が「イヤイヤ」として表れるというメカニズム。
このイヤイヤ期は子供の成長にとって実はとても大切で必要な時期、ということを心に留めておきましょう。
その4.子育て中にイライラするのは当たり前!
言葉が通じない子供の対応に必死になる、その対応が間違っていると容赦なく泣かれる。自分のやりたいことが中断される、そしてその邪魔してくる相手は他でもない大切なわが子なので怒りのやり場がない…。そのような場面が1日に何度も何度も繰り返される子育ては、イライラして当たり前です。
そのイライラのメカニズムは、60年以上前のアメリカの心理学者マクレランドが指摘しています。つまり、子育て中のイライラは昔から人類が抱えている当然の現象なのです。
心理学的におすすめのイライラ対処法はこれ!
子育て中にイライラすることは当たり前、ということは分かりましたが、それではどのように対処すると効果的なのでしょうか。ここでは、心理学的におすすめの対処法についてご紹介していきます。
ポイントは長い時間イライラを継続させないこと!
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先ほど、洗濯をしようとしている時に「ママ―!」と呼ばれて行ってみると、そこには泣きべその子供とこぼれた牛乳があった、という場面を例に出しました。このように「やろうとしていること」が阻止されて順調に進行しなくなる事態を「欲求阻止」といいます。その時に生じる欲求不満の感情が「フラストレーション」です。
その「欲求阻止」の状態が長引き、「フラストレーション」が溜まると八つ当たりや弱い者いじめのような攻撃行動が起こることがあります。これは、虐待につながりかねないものです。
さらに、逃げ場のない「欲求阻止」状況が長期化し、「フラストレーション」が恒常的なものになると、無活動・無為の状態となり、「うつ」や「無気力」の気分に陥る危険性も指摘されています。