狼のスピリチュアルな意味とは、どのようなものがあるのでしょうか?各国での狼の存在やシンボルについて、10個の意味をヒーリング経験のある筆者が解説します。
1:ご祭神として祀られている動物
日本の山間部を中心に、狼を「眷属(神の使い)」として祀っている神社が存在します。東京都青梅市にある武蔵御嶽神社では、二ホンオオカミがご祭神です。狼は「大口真神(おおくちのまがみ)」として神格化し「お犬様」とも呼ばれて信仰されてきました。
他に埼玉県秩父市の、三峯神社でも狼を祀っています。三峯神社は山岳修行によって、神通力を得るための修験道の場所でもありました。狼を眷属にしている神社では、狛犬の代わりに狼が神社を守っています。狼は神の使いであり、神の域にいるものと考えられている動物なのです。
2:山の神
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狼は「聖獣」と考えられ「山の神」としても崇拝されている動物です。田畑を荒らす猪や鹿から、作物を守っています。善人を守護し、悪人を罰する神といわれているのです。
他にも火伏せ(火災を押さえる)や安産、五穀豊穣をもたらしてくれると考えられています。山の神である狼は偉大な力で厄を除け、特に火の災難や盗難から守ってくれるといわれているのです。しかし江戸時代に狂犬病が蔓延したため、次第に狼信仰が廃れてしまいました。狼は人間の言葉を理解し、人間の性質を見分ける能力を持っていると考えられていたのです。
3:狩りの神
狼はネイティブアメリカンから「狩りの神」「部族の守護神」「神の従者」といわれ崇められています。狼を、偉大な力を持った神と考えていたのです。
狼の毛皮をまとった部族は、毛皮をまとうことで狼となって狩りをします。特別な宇宙観を持ったこの部族では、1等星のシリウスを「狼の星」天の川を「狼の道」と呼んでいました。また別の部族は、12月の月のことを「狼が連れ立って走る月」と呼んでいます。ネイティブアメリカンの人々にとって狼は、天・宇宙と深く関わりを持っている動物だったのです。
4:「神」であり「恐怖」を象徴する動物
狼は農業文化の盛んな地域で、農作物を守る神や神の使いとされています。また狩猟文化のあるネイティブアメリカンの部族でも、神格化されている動物です。同じく狩猟を行ってきたアイヌ民族は、エゾオオカミを「カムイ(神)」と呼んでいます。狼は、神聖なつながりを持つ動物と考えられてきました。
しかし牧畜が盛んな地域になると、狼は家畜を襲う害獣とも考えられていたのです。特にヨーロッパの狼は大きく、森に入った人間を襲うこともありました。人間を襲う「狼男伝説」にもされているように、強さは恐怖の象徴となって恐れられたのです。北欧神話では巨大な狼が、神々の敵として描かれています。また童話「赤頭巾」でも、赤頭巾を食べようとする悪役です。
どの地域であっても、偉大な力を持っているのは変わりません。しかし文化や地域性によって捉え方が変わり、神であり恐怖を象徴する動物でもあるのです。
5:月と深い関わりを持つ動物
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夜行性の狼は、夜に力を発揮します。古くから、月と深い関わりを持っていると考えられてきました。北欧神話の中では「月の犬」と呼ばれているのです。また太陽や月を、狼が飲み込んでしまうという話しもあります。日食や月食は、狼の仕業による現象として描かれているのです。
またインドでは、月と共に生きた「夜の力を持つもの」と呼ばれています。月は「神秘の力」のシンボルです。狼の持つ鋭い感覚は神秘の力とも捉えられ、月と深い関わりを持つ動物と考えられました。
6:自然界の「調和」を保つ動物
狼は自然界の「調和」を保っている動物です。自然界の生態系に、大きく影響を与えています。狼が絶滅した場所で、増えすぎた動物が植物を食べ尽くすということがありました。植物がなくなって、動物も消えてしまいます。しかし別の場所から連れてきた狼の群れ放つと、生態系が復活したという記録が残っているのです。
狼は捕食者として動物を捕らえるだけでなく、自然界の調和をもたらす役割を持っています。自然界の霊的な存在とつなっがていて、コンタクトを受けていると考えられたのです。土地を再生する力を、授かっているといわれています。森の王者の狼は、森や自然界の調和を保っているのです。